前回、年次計画(予算)における売上目標は、重点を絞って、商品別や顧客別の売上目標を設定することが大切であるということについて考えました。
特に、製造業にとっては数量目標が大切であること、また、販売チャネル別の売上目標が大切であることを書きました。
今回は、サービス業について、重視すべき売上目標について考えてみます。
サービス業が、製造業・卸売業・小売業などと異なる大きな特徴は、在庫を持たない、持てないことです。
在庫を持てないと、売上目標を設定する場合に、どういう制約が生まれてくるのでしょう?
在庫を持てないと、1日に売上げる金額が、サービスをする場所の大きさや、サービスをする人の人数により制約があり、このことを頭に入れておかねばなりません。
例えば、学習塾や専門学校などは、教室の数や大きさにより、一度に収容できる生徒数が限定されます。
従って、生徒数を何人とるかあるいは、何人までとることができるのかが重視する第一の視点となります。
そして重視する第二の視点が、授業料をいくらにするかという視点です。
学習塾や専門学校などの売上目標は、次の式で表すことができるように設定することが大切です。
授業料〇〇円 × 生徒数△△人 = 売上金額
このように売上目標金額を分解して表すことは、「目標達成のためにどういう打ち手をとるか」という活動計画と結びつきやすいというメリットがあります。
授業料を上げるにはどうしたら良いか? ライバルの授業料はどれ位か?
生徒数を増やすにはどうしたら良いか? 講師の質と量はこれで良いのか? といったことを検討し、打ち手を考えながら目標設定をするのです。
美容室やエステサロンなどは、椅子やベッドの数、技術者の数により、一日に施術できる顧客数が限定されます。
従って、顧客を一日に何人とるかが重視する第一の視点、そして重視する第二の視点が、メニューの単価をいくらにするかという視点です。
美容室やエステサロンなどの売上目標は、次の式で表すことができるように設定することが大切です。
平均客単価〇〇円 × 顧客数△△人 = 売上金額
一日に取ることのできる客数を頭に入れながら、月に何人、年に何人と積み上げて、年間の客数と、目標平均客単価を掛け合わせて計算した金額が、ほぼ年間の売上金額目標と合うように目標設定をします。
さらに、美容室やエステサロンの場合の顧客数を考える場合は、一人のお客さんが、年に何回来店してくださるかという来店サイクルの視点も大切です。
毎月来店客 △△人×来店回数×平均客単価〇〇円
2月に一度客△△人×来店回数×平均客単価〇〇円
3月に一度客△△人×来店回数×平均客単価〇〇円
・・・・・ これらの積算合計が、おおよその年間売上金額になるよう設定します。
このように、売上目標金額を分解して設定することは、具体的な打ち手を考えることに繋がるというメリットがあると同時に、従業員の日々の目標として使いやすいというメリットがあります。
「生徒数を何人集めよう」「今月は何人のお客さんを取ろう」という目標設定の仕方は、分かりやすく、また実績との差異も分析しやすくなります。
サービス業の場合は、変動費比率(売上原価率)が小さく、固定費比率が大きいため、損益分岐点売上高は高いものの、損益分岐点売上高を超えると利益が大きく増えていく特徴があります。
従って、「損益分岐点売上高を超えるには、何人の客を取る必要があるのか」という数字を頭に入れておくことは、経営者にとって非常に大切なことです。
ぜひ、売上目標を、上記のように分解して設定されることをお勧めします。
このような経営計画は役に立たなくなる可能性があります |
⇩
その㉝ |
客数についての分析ができていない。 |
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