このシリーズの第一回目に、“経営計画を作成するにあたって、まず重要な点は、「誰に、何を、どれだけ売るか」、を考えることです。”と書きました。
中長期経営計画の一年目としての年次計画(予算)においても、単に合計の売上目標金額を設定するだけでなく、顧客(市場)別や商品別の売上目標を具体的に設定しておくことが大切です。
この時、注意すべきポイントの第一は、目標を設定する商品や市場の重点を絞ることです。
会社にとって利益貢献度の高い商品や得意先に絞って、売上目標数量や売上目標金額を設定するのです。
目安としては上位75%の商品や得意先について売上目標が設定できれば、残りは“その他”の扱いでも良いでしょう。
特に、製造業にあっては、製品別の売上数量目標を設定しておくことが必要です。機械装置の生産能力や部品調達の仕入先確保などが必要だからです。
会社の売上実績が目標どおり達成できていても、主力製品の売上がふるわず、外部から仕入れた商品ばかり売っていたのでは、機械装置の投資費用や工場の人件費に無駄が生じ採算がとれません。
営業部門は何を売っても良いのではなく、主力製品の売上数量目標をしっかり意識して責任を持って販売してもらう必要があるのです。
営業部門にとっても、重点商品を絞って、販売戦略を練り戦術に落とし込んでいくことが、力の入れどころが分かりやすく、社員の士気も上がりやすいものです。
今月の売上目標金額は〇〇〇。これを重点商品□□を何台、△△を何台で達成する。といった目標が立てれるようにベースとなる年間計画を設定するのです。
顧客(市場)についての売上目標は、得意先や代理店(チャネル)別の売上目標を、重点を絞って設定します。
小売店、量販店、ネット通販などとチャネルが分かれている場合は、それぞれの別に売上目標を設定する必要があります。チャネルによって、価格政策、営業社員の数など、販売政策が大きく異なるからです。
代理店商売が主体の会社は、代理店ごとの目標金額を設定することで、それぞれの代理店に応じたインセンティブを提案するなどの営業政策を検討することにつながります。
また、建築資材用の材料部品などを扱っているようなケースは、通常の代理店に販売するものと、現場ものとして特別に受ける注文とは分けて目標設定する必要があります。
現場ものなど金額が大きく期間限定の商売は、期初にはまだ見込みだけで契約のとれていないケースも多く、その契約が取れなくても通常の商売で会社を維持できるだけの目標設定をしておく必要があるからです。
商品別や顧客別の年次計画(予算)を作成ことは、それを達成するために何をするべきかを真剣に考えるための道しるべとなり、社員が今年度何をどれだけ達成すればよいかを示す具体的な目標となるものです。
会社にとって利益貢献度の高いものに重点を絞って、シンプルに分かりやすく設定することが肝要です。
このような経営計画は役に立たなくなる可能性があります |
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その㉜ |
売上目標が具体的でない。 |
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