「部門別」「月別」の損益予算づくりと並行して、「活動計画」についても、「部門別」「月別」に作成していきます。
以前当シリーズのJ回目に、「重点施策」については、“誰が”“いつまでにやるか”を明確にし、「活動計画」に落とし込んでおく必要があると書きました。
例えば、“新製品〇〇の発売”という重要施策を実施するために、次のような「活動計画」を中期経営計画で作成する必要があるとしました。
施策 | 担当 | 総 予算 |
〇〇年度 | 〇〇年度 | 〇〇年度 |
新製品 〇〇 の開発 |
△△ | 600 | 400 ==⇒ 一次試作 |
200 =⇒ ★ 二次試作 |
発売 |
□□□ 設備の 導入 |
△△ | 4000 | ==⇒ 検討 |
800 ⇒★ 購入 |
800 |
ネット 販売 開拓 |
□□ | 600 | ==⇒ 検討 |
200 =⇒★ 契約 |
400 |
補助金 or資金 借入 |
〇〇 | ===⇒ 検討 |
⇒★ 手続き |
この「活動計画」の内、初年度の部分を、より具体的に詳細に「部門別」「月別」予算に合わせて作成していくのが、年次計画としての「活動計画」です。(フォーマットは、〇〇年度のところが、〇〇月となります。)
重要ポイントは次の二つです。
@“誰が”“いつまでに”“何を”やるかを具体的に明確にすること。
部門別の予算を、各部門の長の主導で作成するべきと前回書きましたが、「活動計画」もやはり各部門長の主導で作成するようにすることが大切です。
例えば、上記の“新製品〇〇の発売”の活動計画について、中期計画では“新製品〇〇の開発”と一行で書いている活動内容でも、実際の業務としては、企画部門でニーズ・価格・競合などについての調査と製品企画を行い、開発部門では設計と試作を行い、生産部門では購買と生産計画を行うといったケースがあります。
そうした場合は、それぞれの部門で、“誰が”“いつまでに”“何を”やるかを具体的にする必要があります。従業員一人一人が、今期の行動計画に落とし込めるように、各部門別の「活動計画」を期初に作成しておくのです。
A必要な予算とその効果を数字で説明できること。
上記@の「活動計画」に合わせて、各部門で必要な予算を計上します。この時点では、まだ部品や設備等の見積書が収集できておらず、概算でしか計上できないものもあるかもしれませんが、この活動により生み出す成果から逆算すると、いくらまでに投資額を押さえなければならない。といった目論見があるはずです。
実際の見積もりや、そうした目論見の金額を調整し合算して、今期はいくらの経費をかけて、どういう成果を生み出すのかという金額を決め込み、予算として組み込むのです。
今まで安易に考えていたプランが、数字として予算と効果を説明しようとすると、新たな課題が見えてきたりします。そのことが大切で、人に説明できるレベルになってこそ、年次予算として設定する意味があるのです。
上記、@・Aの重要ポイントは、施策によってはまだ具体的に書きづらいものもあるでしょう。
そうした施策については、大まかに的を絞って記載します。目論見ベースでも良いので、期限や金額を一旦設定してみることが、他の人を巻き込むための議論の土台となるのです。
「新製品○○を発売します。」と言うだけでは、誰もがなんとなく賛成するだけで行動に移りません。
「いつまでに〇〇をやってください。」と期限を指定することで、「では急いで〇〇の準備をしなければ。」とか「先に〇〇の課題をクリアしなければダメだ。」と関係者が考え行動を始めます。
「予算はいくらでやってください。」と金額を指定することで、「今までのやり方を変えなければ無理だ。」とか「費用対効果を考えると最低いくらの売上が必要だな。」と関係者が本気で考えるのです。
“誰が”“いつまでに”“何を”やるか、予算はいくらか、を具体的に記載されたものは、通常「アクションプラン」と呼ばれるものとなります。
これらが、明確に記された年次計画や予算は、アクションプランとも言えるものですが、年次計画や予算作成の際には大雑把にしか決まっていないものもあります。
従って、その会社のルールによりますが、重要施策ごとのアクションプランについては、別途、実施前に稟議や経営会議などの社内決済の手続きを取る方が良いでしょう。
「予算に計上していたから再度承認を得ることなく実行した」ということでトラブルを生むケースがありますので、「予算にあげていたものだが、詳細が決まったので稟議手続きを取る。」というルールの方が良いでしょう。
このような経営計画は役に立たなくなる可能性があります |
⇩
その㉛ |
活動計画に期限や金額の具体性がない。 |
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