中長期経営計画を絵に描いた餅に終わらせることなく、日々の業務に活かして実行していくためには、損益計画を中心に予算化しておく必要があります。
3〜5年の中期計画については、1年ごとの年次計画に分割し、これから始まる年次の計画を「今年度の予算」とするのです。
この時、大切なことは、「部門別」に「月別」の予算を立てることです。
部門別予算
小さな組織の場合は、「部門別」の予算は必要無いのでしょうが、事業部制の組織をとっていたり、営業と生産の組織が分かれていたりすれば、予算もそれぞれの部門別に作成します。
「部門別」に予算を立てるということは、それぞれの組織の責任者ごとに予算を立てるということで、誰がその予算について責任を持って遂行するのかを明確にするということです。
このことは、組織の責任者に対する「権限の委譲」と表裏の関係にあり、予算の遂行について責任を持ってもらうので、予算の範囲内であればある程度の権限を与えることも必要であるということになります。
「部門別」予算に責任を持ってもらうためには、予算案をその部門の責任者の管理下で作成するのが望ましく、スタッフ部門で作成するとしても、その部門の責任者と充分な意見交換を行いながら作成すべきです。
「部門別」予算を立てる際の会社のトップの役割は、売上目標や利益目標、および人件費などの重要項目について、全社の中長期計画を踏まえたガイドラインを示すこと、並びに「各部門から出てきた予算案の合計」と「全社の今年度予算」との差異についての調整をすることです。
この時、あまり細かい数字にはこだわらず、ガイドラインに沿って各部門別の損益予算が組まれているかを中心に確認し、売上目標や利益目標が足りない際にガイドラインに沿った目標数字への修正を各部門長に納得してもらうことに焦点を絞るのがコツです。
月別予算
予算案を「月別」に作成する目的は、日常の業務の中で予算遂行の管理を行うためには、年間の予算だけでは大雑把すぎて管理できないこと、予算と実績の差異について分析し改善するためには、遅くても月単位でチェックし対策を検討しなければならないからです。
「部門別」の年次計画を「月別」に設定する方法は、科目別に主に次の四つの方法を適宜組み合わせて設定すると良いでしょう。
@12分の1の数字を設定する。
一旦、全ての科目について年次計画の12分の1の金額で月別予算数字を設定し、その後重要なものだけABCの調整を行うとうまくいくケースが多いです。
A前年同月の数字を参考に、各月に分ける。
季節変動なども同時に考慮します。特に売上高についての月別や季節ごとの変動は、例年同じような傾向を示すケースが多くあります。
B特別に多い月について考慮する。
特に新製品販売開始月や、展示会の予定月などに充分配慮して、売上高や仕入高、販売促進費などの数字を設定します。
C売上高に対する比率を考慮する。
仕入高や売上割戻金などの変動費については、売上目標の月別数字を設定してから、年次計画の対売上比率により月別金額を設定します。
「部門別」「月別」予算の数字が決まれば、「重点施策」についての「活動計画」も、「部門別」に作成していきます。
このような経営計画は役に立たなくなる可能性があります |
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その㉚ |
予算が組織の責任者単位で組まれていない。 |
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