「重点施策」の定め方の三つ目は、経営資源の配分の観点から重要な活動を選ぶ方法です。
人・物・金・情報(IT)といった経営資源は、ほとんどの企業で限りがあります。その限りのある経営資源をどのような活動に重きをおいて配分するかは、重要な経営判断であり、経営計画において重要な意思決定となります。
従って、今までとその配分の仕方を変えていくべき案件、あるいは経営資源自体を増やしていく(あるいは減らしていく)べき案件に的を絞って、重点施策を定めていきます。
(1) 人
全体として、この経営期間中に従業員数は増やすのか、現状維持か、あるいは減らすのかを、まず検討します。変化の大きい場合は、採用活動(あるいは人員削減活動)について、明示するケースもあります(人員削減の場合は慎重に)。
次に、特に人員を増やすべき機能(部門)や活動があれば明確にしますが、その場合は逆に削減すべき機能(部門)や活動がないかにも注目します。
また、人材資源の価値を高めるための活動として、社員教育に力を入れる、あるいは人事制度や給与規定を見直すといった施策に力を入れる場合もあります。
(2) 物
店舗を増やす、移転する、あるいは閉めるといった活動、工場や倉庫を拡張する、あるいは縮小するといった活動、新しい機械を導入する、店舗の内装やショールームを改装するといったことで、重要な活動を記載します。
特に不動産の売却にあたっては、圧縮記帳による税制上の優遇措置を受けたり、機械設備の導入にあたっては、やはり税制上の優遇措置や、補助金・助成金の適用を受けることのできるケースもあるので、重点施策として検討を加えることが大切です。
(3) 金
資金が必要となる重点施策は沢山あるでしょうが、資金は足りないケースが普通です。従って、重点施策には優先順位を定め、予算の配分を考えておかねばなりません。
資金繰り上、多額の借入金や出資を予定せざるを得ない場合は、資金の調達自体を重点施策として定める必要があるでしょうが、通常は「金」に関しては、沢山の活動を行う場合の制約条件として考えておくべきものです。
(4) 情報(IT)
情報(IT)システムを新しく構築する、あるいは新しいソフトを購入するといった重点施策を定めます。
特に、営業面でネット販売を開始する、物流システムを新しくする、あるいは会計や人事システムを構築するといった場合、システムを新しくすることと同時に、今までの業務内容も変革しなければならないケースが多いので、色々な部門の協力を得られるように重点施策として必ず定めておきましょう。
また、ITシステムにお金をかける方法にこだわらず、朝礼のやり方を変える、経営計画検討会を開く、報連相を徹底するなど、社内の情報を効果的に流しコミュニケーション力を高めるといった施策に力を入れる方法もあるでしょう。
大切なことは、やりたいと思った活動を、あれもこれも全て経営計画に取り上げるのではなく、人や金に制約がある中で、効果の高いものから優先順位をつけて重点施策として定めることです。
また、できるだけ具体的に「重点施策」を設定し、誰が、いつまでにやるか(あるいはいつまでに見直すか)を決め、「活動計画」に落とし込んでおくことが重要なのは前回と同じです。
このような経営計画は役に立たなくなる可能性があります |
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そのI |
活動を絞り込めていないので経営資源が不足。 |