「目的」「目標」「方針」といった経営計画の骨子が決まったら、その「目標」を達成するために行う「重点施策」を定めます。
経営計画期間中に行う施策は沢山あるでしょうが、その中から目標達成のための鍵となる重要な活動を選んで、「重点施策」として定めます。
「重点施策」は、できるだけ具体的に定め、誰が(あるいは、どの部門が)、いつまでにやるかを定めて、「活
動計画」とします。
「重点施策」の定め方としては、次の三つの方法から自社に合った方法を選べば良いでしょう。二つ、あるいは三つの方法を合わせて使用しても良いです。
@マーケティングミックス(4P)の手法により重要な活動を選ぶ方法
A機能別(または部門別)に重要な活動を選ぶ方法
B経営資源の配分の観点から重要な活動を選ぶ方法
今回は、この内@の、マーケティングミックス(4P)の手法により重要な活動を選ぶ方法について考えてみます。
マーケティングの4Pとは、製品の売り手から見て、以下の4要素がマーケティング戦略上、重要だという考え方です(一方、買い手から見で重要な要素として4Cがあります)。
(1) Product(製品)
(2) Price(価格)
(3) Place(流通)
(4) Promotion(販売促進)
このマーケティングの4Pは、経営計画のヒントの@において、「誰に、何を、どれだけ売るか」というテーマで設定した「ターゲット顧客」を頭に描いて考えることが重要です。
この四つの各要素について、今まで以上に力を入れていく活動や、新しく開始する活動、あるいはやめるべき活動などを、具体的に「重点施策」として定めていきます。
(1) Product(製品(または商品))
経営計画で力を入れていこうとしている顧客層のニーズに、自社の製品群がマッチしているかどうかを検討し、製品改良や新製品開発などの活動計画を設定します。
注意すべきことは、製品の種類が増えすぎると、売れない在庫が増え資金繰りを圧迫したり廃棄損が出たりしますので、製品の種類を増やす場合は、これに合わせて減らす製品の検討をすることも重要です。
(2) Price(価格)
経営計画で力を入れていこうとしている顧客層に、自社の製品の価格はマッチしているかを検討し、必要ならば見直します。
製品の価格は、販売量と合わせて検討せねばならず、高すぎると販売量が減り、安すぎると利益が出なくなりますので、いくらに価格設定するかは、大変重要でかつ難しい問題です。
経営計画策定の段階で、価格政策に問題があると感じていれば、「価格政策をいつまでに見直す」ということを重点施策に入れておくだけでも良いでしょう。
(3) Place(流通)
経営計画で力を入れていこうとしている顧客層に対して、どういう流通経路で自社の製品を届けるかということについて再検討します。
自社が直接販売するか、代理店や特約店を経由して販売するか、百貨店やスーパーマーケットやコンビニエンスストアで販売するか、あるいはカタログ通販やネット通販で販売するかといったことです。
特に最近では、流通経路が短くなる傾向にあり、代理店や特約店を通さないケース、ネット通販を取り入れるケースなどが増えていますので、自社のターゲット顧客に対して今の販売方法が適切かどうか、経営計画策定の時期に再検討することが重要です。
(4) Promotion(販売促進)
販売促進策としては、見本品や販売促進用グッズの配布、代理店に対する売上割戻しやリベート、購入者に対するキャッシュバックなどがあり、広告宣伝策としては、TVや新聞・雑誌への広告、展示会への出品、ダイレクトメール、ホームページやフェイスブック、ツイッターなど、様々なものがあります。
気をつけねばならないことは、これらの政策は、効果が測定しづらく、マンネリ化してしまい易いということです。
経営計画策定時期だからこそ、前年並みの施策を立てるのではなく、ターゲット顧客に対するその効果について判定するよう努力し、必用ならば思い切った見直しを図るべきです。
重要なことは、できるだけ具体的に「重点施策」を設定し、誰が、いつまでにやるか(あるいはいつまでに見直すか)を決め、「活動計画」に落とし込んでおくことです。
そして、注意しておくべきことは、これらの施策が「誰に何を売るか」という「ターゲット顧客」ごとに、うまくマッチして整合性が取れていることです。