これらを、上記のように四象限に分割して整理することが勧められていますが、事業全般にわたって詳細にこれを行っても、あまり役に立たないものになりがちです。この分析を行うときは、「競合他社と比較して」または「顧客のニーズに対して」、自社または自社の製品が、どういう状況にあるかを、重要なものに絞って分析し把握することが大切です。

　例えば、マクロの事業環境についての分析で、「少子高齢化」ということを取り上げたとします。多くの企業にとって、このことは"脅威"ピンチととらえがちですが、団塊の世代を始めとした60才〜70才代の人々を、中心顧客ととらえている企業にとっては、"機会"チャンスです。
　前回の喫茶店の例で言えば、住宅・商店街にある喫茶店なら、60才代の退職したばかりの年齢層の人々は、「ちょっと近所の喫茶店に行ってくるから」といった常連客になる可能性が大です。

　また例えば、ミクロの事業環境の分析で、「近くに新しいコンビニができて、100円のドリップコーヒーが人気」ということがあるとします。テイクアウトの多いドトールコーヒーなら、このコンビニは競合他社と言えるでしょうが、前述のテイクアウト(持ち帰り)のコーヒーの売上がほとんど無い喫茶店なら、このコンビニは競合"脅威"が増えたと考える必要は無く、逆に人が集まる要因が増え、"機会"チャンスととらえる方が良いかもしれません。

　自社の"強み""弱み"の分析を行うときも、「競合他社と比較して」または「顧客のニーズに対して」、自社または自社の製品が、優れているか劣っているかということを分析します。前回の喫茶店の例で言えば、製品・市場マトリックスの、それぞれのマス目について、"強み""弱み"の分析を行います。

　例えば、朝時間帯客や昼時間帯客に対して、"強み"と思っていたコーヒーが、夜時間帯客にとっての飲料としては、強みでないかもしれません。また、今まで朝時間帯客や昼時間帯客に対しては、カレーやピラフといった料理で問題なかったとしても、夜時間帯客に提供する料理については、今までのメニューだけでは"弱み"となるでしょう。

　これらの分析結果は、「問題点」と「課題(解決策)」としてまとめると、このあとの経営計画の作成にうまく役立ちます。

　例えば、前回の喫茶店を例にとると、
「問題点」
・夜時間帯客向けのメニューが少なく、夜時間帯の客数が少ない。また、夜時間帯の売上が少ない。
・料理のメニューが少なく、一人当たりの客単価が小さい。
　といったことになります。この問題点の解決策として、
[課題]
・夜時間帯客を増やすための、おいしい軽食メニューの開発。例えば、ピザなど。
・夜時間帯客を増やすための、料理にあったドリンクニューの開発。例えば、ビール・ワインなど。
・テイクアウト(持ち帰り)したくなるような、おいしい軽食メニューの開発。
　といったことを考えてみます。

　第一回目の、「誰に、何を、どれだけ売るか」ということと、今回の「強み・弱みの分析から問題点と課題(解決策)を抽出する」ということは、同時並行的に行います。このことは、事業戦略を立案するということの第一歩でもあります。

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