経営計画を作成する際のヒントを、コンサルティングの視点から連載します。
1 誰に、何を、どれだけ売るか
経営計画を作成するにあたって、まず重要な点は、「誰に、何を、どれだけ売るか」、を考えることです。
顧客は、どのような属性の人で、どのような課題やニーズを持った人なのか、その顧客に対して、どのような商品を売るのか、それは自社で作った製品なのか、他から仕入れた商品なのか、といったことを、まず考えます。
次のような縦軸・横軸の「製品・市場マトリックス」で考えて、既に事業を始めている人なら、昨年実績といった、今までの実績数字を大まかで良いので入れてみましょう。
これから事業を始める人なら、2〜3年後の目標や予測を入れてください。
例えば、ある喫茶店のモデルケースを、次のように入れてみます。
現在 |
店内飲食者 |
店販・出前購入者 |
ソフト飲料 |
4,000 |
200 |
アルコール飲料 |
0 |
0 |
料理 |
1,600 |
200 |
この喫茶店は、現在のところコーヒーの売上が中心で、アルコール飲料を置いておらず、出前や店販も積極的には行っていません。現在の売上600万円を2〜3年後に1000万円に伸ばしたいと考えた時に、アルコール飲料の販売を開始するか、店販・出前の販売を本格的に始めるかのいずれかの方法を選択しようとしているとします。
出前を積極的に行うには、人を増やさねばなりませんので、アルコール飲料を置くこととし、料理についてはアルコール飲料に合うピザに力を入れることにしました。このことで、目標を次のように置いてみました。
単位千円
2〜3年後 |
店内飲食者 |
店販・出前購入者 |
ソフト飲料 |
5,000 |
200 |
アルコール飲料 |
1,000 |
0 |
料理 |
2,600 |
1,200 |
ピザに力を入れることで、ピザの持ち帰りの要望にもしっかりと応えることにより、店販の数字も増やす目標としました。アルコールを置くことで夜間の営業時間を延ばす必要がありますが、そのことで今までにない顧客層が増えることで、ソフト飲料も増やすことができると考えました。
このことで、来客時間帯が変化し、マトリックスの横軸を時間帯別の顧客とすれば、次のように変化することを想定しました。 単位千円
朝時間帯客 |
昼時間帯客 |
夜時間帯客 |
|
ソフト飲料 |
1,600 |
1,600 |
1,000 |
アルコール飲料 |
0 |
0 |
0 |
料理 |
500 |
800 |
500 |
2〜3年後 |
朝時間帯客 |
昼時間帯客 |
夜時間帯客 |
ソフト飲料 |
1,600 |
1,600 |
2,000 |
アルコール飲料 |
0 |
0 |
1,000 |
料理 |
500 |
1,300 |
2,000 |
これを達成するためにやるべきことは何か? ピザを始めとしたメニューの開発、持ち帰り商品の包装材料、アルコール類の仕入先、夜のスタッフを増やす必要は?といったことを色々と考えてみます。
客層が、夜時間帯客に大きくシフトしてしまいます。それで良いのだろうか? 実現の可能性は高いのだろうか? こうしたことを色々と考えてみることで、自分の事業の特性が明確になり、事業の強みや弱みも改めて認識することができます。
この「製品・市場マトリックス」は、「誰に、何を、どれだけ売るか」という事業の基本的な戦略を検討し、立案するのに大変効果的です。何度も書き直してシミュレーションしてみましょう。
役に立つ経営計画はオーダーメイドです。どんなサポートをお求めか「問合せ」てください。
★このページとの関連の深いページ
強み・弱みの分析から問題点と課題(解決策)を抽出する
経営計画の対象期間
経営計画の骨子 〜目的〜
★経営計画のヒントの全体構成
自社の分析 経営計画の骨子 重点施策と活動計画 KFSの点検 損益計画 貸借対照表計画 資金繰り計画 全体の整合性確認 推進体制づくり 予算化 予実管理