12月13日シドニーで、オーストラリアのラグビーユニオン協会の年間表彰式があり、年間最優秀選手はフィジー出身の新人が選ばれ、次点にレベルズ所属のアマナキ・レレィ・マフィが選ばれたという。
ラグビー強国オーストラリアのスーパーラグビー選手の内、今年2番目に活躍した選手が、日本代表でもあるアマナキ・レレィ・マフィだということだ。
アマナキ・レレィ・マフィは、これより少し前に、スーパーラグビーのベストフィフティーンにbWで選出された。これもすごい。
世界最高峰のリーグで、攻守に最もパワフルな選手が集まっているbWのポジションで、今年最も活躍した選手に選ばれたのだ。
[写真:NTTコミュニケーションズのホームページより]
アマナキ・レレィ・マフィはフィジカル・モンスターとも呼ばれているらしい。
189cm、112sの体格。走るスピードは速く、攻守において当りは激しい。
ボールを持てば必ず前進、敵を蹴散らしてゲインラインを突破するイメージだ。
相手と激突する時の破壊力が、「体重×スピード×闘志」で計算されるとしたら、その破壊力は現役ラグビー選手の中で世界一かもしれない。
マフィの憧れの選手が、若くして亡くなったニュージーランドのウイング、ジョナ・ロムーだというが、ジョナ・ロムーも巨大な体でスピードがあり、敵をなぎ倒して多くのトライを奪った伝説の選手だ。
ポジションこそ異なるが、ラグビー好きにはたまらない、豪快極まりない選手だ。
そんなマフィだが、所属したチームは弱いチームが多い。
日本に初めて来て所属したチームは、関西Bリーグの花園大学。最近、関西の大学は、関東に比べて力が劣るが、その中でもAではなくBリーグのチーム。
しかし、関西大学選抜チームの一員に選ばれて、関東大学選抜チームとの試合の時に、暴れまくったらしい。
その試合を見て目を付けたのが、トップリーグでは下位グループだったNTTコミュニケーションズ。
その後、当時の日本代表ヘッドコーチのエディ・ジョーンズ氏が、NTTコミュニケーションズで活躍し始めたマフィに目を付けたという。
アマナキ・レレィ・マフィが日本代表に選ばれたのは、2015年ラグビーワールドカップの1年前。マオリ・オールブラックス vs 日本代表の試合からだったと思う。
世界一のオールブラックスのメンバーも含む強敵のマオリ・オールブラックス相手に、マフィは力強い突進を見せ、ワールドカップに向けて期待が膨らんだ。
エディ・ジョーンズ氏は、「アマナキ・レレィ・マフィは、自分にとってのギフトだ」と言った。
英語でギフトとは、“贈り物”という意味以外に“才能”という意味があり、「神様から与えられた才能」という意味での表現だったようだ。
マオリ・オールブラックスの試合で、私も大きな期待を膨らませた一人だが、マフィは直後12月のトップリーグの試合で股関節を手術しなければならない大けがをしてしまった。
翌年9月のワールドカップの試合に復帰が間に合うか危ぶまれたが、エディさんの期待に応えて間に合わせてくれた。
スポーツ史上最大の番狂わせと言われた、2015年9月の南アフリカとの試合。
後半マフィが途中出場してから、日本代表の勢いは増した。
最後の劇的な逆転トライは、終了時間を過ぎてから立川のパスをセンターの位置で受けたマフィが、南アのセンターをハンドオフで交わした後、最高のタイミングでウィングのカーン・ヘスケスにパスを通して生まれた。
まさにアマナキ・レレィ・マフィは、私たち日本のラグビーファンの全てにとっての“ギフト”だったのだ。
その後、イングランドのチームに半年間所属した後、オーストラリアのレベルズに移籍。
トップリーグのNTTコミュニケーションにも所属、日本代表チームにも欠かせない存在になっている。
マフィのすごいところは、フォワードプレイヤーとして世界レベルであるのに加えて、バックスプレイヤーとしても充分世界レベルであるところ。
トンガ時代は、ウィングプレイヤーであったらしい。
2019年ワールドカップへ向けて、これからも“ギフト”の輝きを見せて欲しい。
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