11月4日、横浜 日産スタジアム。ラグビー日本代表はオーストラリア代表(ワラビーズ)に、30対63で敗戦した。
マスコミの報道は厳しいものが多いが、私は試合を楽しめた。
その理由の一つは、後半戦は27対28と接戦だったこと。
最近の日本代表やサンウルブズは、後半の最後の20分位に大崩れすることが多かったが、この試合は逆に追い上げた。 前半は、反則によりペナルティを取られたことに起因とする失点が多かったが、反則が減った後半は充分に対等の試合ができた。
ワラビーズは、過去8回のラグビーワールドカップ大会で、優勝2回、準優勝2回の強豪である。現在の世界ランキングも3位。 ほぼベストメンバーのワラビーズ相手に、後半戦だけとはいえ互角というのは悪くない。
もう一つの理由は、選手に闘志が感じられたこと。
スピードに乗った大きなバックスに走り回られたシーンもあったが、スピードに乗る前のタックルはほとんどミスなく倒していた。
フィットネス(持久力)面の課題は大きく、ディフェンスに行くのが遅れた場合に相手がトップスピードに乗るのを許したが、フィットネスは今後充分に改善できる。
闘志については、生来のものがあるので、ラグビーのテストマッチ(国代表同士の試合)で闘志を示せない選手は、将来もあまり期待できないが、この試合の選手達は合格点だ。
中でも、闘志が一番感じられたのが、テストマッチ初キャップの姫野和樹(23才)。
大学日本一の帝京大を卒業後、トヨタ入社。今年新人ながら、キャプテンに選ばれトップリーグで活躍中。
フランカー(6・7番)とロック(4・5番)ができるが、ジャパンではロックで出場。
ジャパンが一番手薄なロックを担い、長身の揃うロックとしては小柄(身長187p、体重108s)ではあるが、闘志あふれる突進と防御を見せてくれた。
試合終了直前の姫野のトライに私は、思わず「やった!」と大声で叫んだ。
最近の日本代表のロックは、2mを超える身長の選手がおらずラインアウトで苦戦しているが、海外の強豪チームに通用する闘志あふれる名選手がいないのが残念であった。
昔は、近鉄の小笠原や、神戸製鋼の大八木といった、野性的で闘志あふれるロックがいて、そうしたチームは強かった。 高校生の頃、花園ラグビー場で行われた近鉄ラグビーの試合観戦時に、「おい、小笠原が倒れてるぞ!」と意外性の強い小笠原の負傷を楽しむような(失礼!)大きなヤジと周囲の笑い声が飛んでいたのが懐かしい。
「殺しても死なない」という表現の似合うロックがいて、ほんとうに頼もしかったものだ。
姫野和樹には、その雰囲気がある。
この試合では、他の選手も少なからず闘志を感じられた。
フィジカル(体力)に劣り、フィットネス(持久力)で優っていない現在のジャパンは、今回オーストラリアに負けたが、2年後のワールドカップに向けて、まだ鍛える時間はある。
前回2015年のワールドカップも、直前の6か月間でフィットネス(持久力)を劇的に高めている。
大丈夫だ。まだ間に合う。期待したい。
次の日本代表(男子15人制)の試合
11/18(土) 対 トンガ代表 @フランス トゥールーズ 11/19 1:05〜日テレ 生中継
11/19 1:00〜Jスポーツ1 生中継
11/25(土) 対 フランス代表 @フランス ナンテール 11/26 4:45〜日テレ 生中継
11/26 4:30〜Jスポーツ1 生中継
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