楕円球 〜日々思う
楕円球 〜日々思う
作成日:2017/10/24
ジャッカル



 10月21日、ラグビートップリーグの全勝同士、パナソニック対サントリー戦が行われ、21:10でパナソニックが勝利した。
 アタック、ディフェンスともによく鍛えられ、才能あふれる有力選手の多いチーム同士の対戦のため、台風による雨の影響で悪いコンディションにもかからわず、息詰まるおもしろい戦いであった。
 勝負を決した要因の一つは、パナソニックの松田、山田、福岡というラグビーセンスと走力を兼ね備えたバックス陣の、一瞬のチャンスを逃さぬ決定力。
 元オーストラリア代表の司令塔(スタンドオフ)ベリック・バーンズに操られて、走力のある日本人バックスが走り回るパナソニックのラグビーはいつもおもしろい。

 ただ、この日のマン・オブ・ザ・マッチは、オープンサイド・フランカー(7番)のデービッド・ボーコック。こちらはオーストラリアの現役代表である。 デービッド・ボーコックの度重なるジャッカルが、サントリーの攻撃を何度も止めたことが、パナソニックの最大の勝因だということだ。
 そのジャッカルについて、今日は書きたい。

 ラグビーをやってなかったけどラグビー好きの友人が、「元近鉄のラグビー選手の経営する店で、ジャッカルというレストランに行った。」と話していたことがある。
 これを聞いて、私はすぐにフランカー(6番・7番)をやっていた選手だと分かった。
 フランカーの選手は、ジャッカルで相手チームの攻撃を止めることに誇りを感じている選手が多いからだ。

 ジャッカルとは、「イヌ科の哺乳類でオオカミに似ており死肉を食べる」といったことが辞書には書かれている。
ライオンに食べられた鹿の残飯を、あさって食べている姿は想像するだけでイメージが悪い。日本ではハイエナのイメージだ。
 タックルに倒された選手の上から、ボールをもぎ取る姿がジャッカルに似ていることから、このプレーがそう呼ばれるようになったらしい。
 今回の試合でサントリー側の7番で出場していた、元オーストラリア代表のジョージ・スミスがジャッカルの名手として最初に名を馳せ、今はパナソニック側のデービッド・ボーコックが世界1or2を争う名手だという。


(※タックルされたサントリーの選手のボールをジャッカルするデービッド・ボーコック)

 最近の力の拮抗したチーム同士のゲームにおいては、アタック側がパスでつなぐボールをディフェンス側が奪い返す(ターンオーバーする)のは、非常に難しい。
 スクラムやラインアウトのセットプレーからボールが出て、アタック側がタックルされてラック(ボールが地面にある密集)になり、そこから出したボールを回しアタックする選手がタックルされてまたラックになる。せった試合の終盤では、これが30回(フェーズ)以上も繰り返されるシーンを見ることもよくある。

 このラックでは、プレイヤーは手を使えず、足でボールを掻き出すか、真上から見てラックから出たと判断されたボールに対してのみ、手を使うことができる。
 「でも、ジャッカルは、手でボールを奪ってるやん。」という疑問が出てくるが、タックルされた選手に対して、防御側と攻撃側の選手が一人ずつ以上かぶさってきた時に、ラックは成立する。
 従って、攻撃側の選手がかぶさってくる前なら、防御側の選手は手でタックルされた選手のボールを奪い取ることができるのだ。これがジャッカルである。

 このジャッカルには、一瞬の判断力に加えて強い足腰と腕力が必要である。
 まず攻撃側の選手がいつかぶさってきたか、すなわちいつラックが成立したかの判断が難しい。攻撃側の選手が来るまで一瞬の間しかない。ラックが成立していたと判定されたら、ラックで手を使うことは大きな反則。ペナルティーを取られる。
 タックルされた選手はタックルされたらボールを離さなければならないが、タックルされた直後にはまだボールを抱えていたり、身体の下に入っていたりするし、すぐに敵味方の選手が上にかぶさってきたり、強烈に頭からぶち当たってきたりする。
 ラック成立前にジャッカルに行った選手は、そのままボールを手で奪い取ることができるが、両チーム選手が激しく当り合うラックで自分の姿勢を保ち、ボールを奪い取るには強靭な足腰と腕力が必要となる。

 フランカーは、フォワードの中では比較的身体の小さい選手が多いが、バックス並みの走力を持つ選手が多い。
 味方バックスと協力して相手のスピードあるバックスに低いタックルを見舞うシーンをよく見る。
 また、誰よりも早く、敵味方のぶつかる接点にかけつけ、次々と当たってくる敵味方の圧力に耐えて、地面にあるボールを奪取、ジャッカルする。
 そして味方のピンチを救う。
 低いタックルとジャッカル。この二つを最大の使命と考えているフランカーが多い。相手にいやがられるしつこさが真骨頂である。

 残念ながら、今、日本のトップリーグでジャッカルの名手は、ジョージ・スミスとデービッド・ボーコック。オーストラリア代表の実績を持つため、日本代表にはなれない。
 彼らジャッカルの名手とのプレーを通じて、日本代表にも世界で認められるレベルのジャッカルの名手が育って欲しい。

 11月は、トップリーグは休み。各国の代表チーム同士が交流し対戦するウィンドウマンス。
 日本代表も、オーストラリア(世界3位)、フランス(世界8位)、トンガ(13位)との対戦がある。楽しみだ。


 
 次の日本代表(男子15人制)の試合
 10/28(土) 対 世界選抜      @福岡 レベルファイブスタジアム 14:55〜BS日テレ生中継
 11/  4(土) 対 オーストラリア代表  @横浜 日産スタジアム      14:30〜日本テレビ生中継
 11/18(土) 対 トンガ代表      @フランス トゥールーズ
 11/25(土) 対 フランス代表     @フランス ナンテール

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