6月24日のラグビー日本代表対アイルランド戦、残念ながら13対35で第一戦に続いて敗戦した。
点差は開いたが、第一戦の時とは異なり、後半の中盤頃には追いつくのではないかと思われる流れの時もあり、選手の必死さが伝わり力の入る良い試合であった。
第一戦の時と比べて、ディフェンスが改善された。セットプレーから簡単に突破されるようなことは無かったので、組織ディフェンスがまず改善されたのだろう。
そして、選手個々のタックルの強さが改善され、攻撃側の選手を押し戻すようなタックルが何回もあった。第一戦の時は、アイルランドの攻撃に対してタックルはほとんど受け身で、ゲインラインを切られていた。
「ゲインライン」とは、攻撃を開始する時のボールのある位置から、ゴールラインに平行に引いた仮想のライン。タックルされた時に、この仮想のラインを越えていれば、その攻撃により前に進んだということであり、ボールを持つ選手の後ろから攻撃するのが基本のラグビーでは、ゲインラインを突破することが、その後のプレーにおいて大きなアドバンテージとなる。
逆に、バックスがゲインラインより後ろで捕まると、フォワードは後ろに戻ってからラックやモールに入ることを強いられ、勢いが失われるし、この戻ってから入るということの繰り返しで体力を大きく消耗する。
この試合は、アイルランドの攻撃をゲインラインを突破させずにタックルで止めるケースも多くあった。
一人目が下へタックルし、二人目が上にタックルに行く。そして、相手を倒せばすぐに立ち上がりボールを獲得に行く。この日本の武器となるタックルの形も見えてきた。
ジェイミー・ジョセフ ヘッドコーチが、「先週に比べて選手に戦う気持ちがあった」と評しているので、ディフェンス面での気持ち、気合の問題が大きいことを示した試合であると言えるだろう。
タックルで最も魅せたのは、トンプソン・ルーク(36才)。大阪弁を流暢に話す近鉄の選手。愛称「トモ」。2015年ワールドカップでは大活躍でラグビーファンの多くはMVP級の評価をしたが、本人は「もうおじいちゃん」と日本代表から引退を宣言していた。
そのはずが、ロック陣にけが人が続出して、急遽ジェイミー・ジョセフHCに懇願されて、代表復帰を果たした。日本代表やサンウルブズに参加している選手以外は、今はシーズンに入っておらず身体もまだ出来上がっていないはずなのに大丈夫か?と、私はトモを突然日本代表に選んだことに情けない気持ちになった。
そのトモが、試合開始早々からナイスタックルを連発。結果、両チーム最多のタックル回数で27回。ラインアウトもジャンパーとして、安定した捕球を見せた。恐れ入った。ありがとうトモ。
(花園ラグビー場のダシャレメニュー。トモに対する親しみが表れている)
そのトモに、これからも頼るわけにはいかない。
気合の入った試合でミスも少なかったジャパンだが、相手のアイルランドはそれ以上にミスが少なかった。
「体格で上回る相手のシンプルなラグビーに力負けした。」というのが、ジェイミー・ジョセフHCの言葉。
フィジカル(体格とパワー)面での劣勢をカバーするに充分な、スピードとフィットネス(持久力)を身につけること。
そして、フィジカル(体格とパワー)面でも世界と戦えるだけのものにレベルを上げること。
課題の沢山見えたアイルランド戦ではあるが、両ウィング(11番・14番)とフルバック(15番)の得点力、若手の活躍と、良い面も見えてきた。
今後の成長を期待したい。
次の日本代表の試合
10月28日(土)日本代表vs世界選抜 福岡・レベルファイブスタジアム
11月04日(土)日本代表vsオーストラリア代表
11月25日(土)日本代表vsフランス代表
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