5月27日のサンウルブズの試合結果(対チーターズ7:47で敗戦)は、ショックだった。勝てると思っていたのに完敗。
最大の敗因は、ラインアウト後のモールでコテンパンに押され続けたことと、大事な場面のマイボールラインアウトをミスで取れなかったことにあると思う。
スクラムは体格差を克服し、スーパーラグビーの各チームとほぼ互角に戦えるまで成長してきたのに、ラインアウトのボール獲得では何故苦戦が続くのか?
ロック(4番・5番)は、たいていチームで一番の長身で、ラインアウトではジャンパーとして中心的な役割を担う。 他のチームと違ってサンウルブズには2メートルを超える身長の選手がいないので、確かに不利である。 しかし、2015年のワールドカップでは、日本チームはラインアウトでもマイボールラインアウトをほとんど獲得していたのだから、体格差を練習と組織力でカバーすることはできるのだろうと思う。
前回、スクラムは奥が深いと書いたが、ラインアウトも奥が深い。
2015年のワールドカップで大活躍したロックのトムプソン・ルークが語っていたが、ラインアウトのジャンパーを前と後から持ち上げるリフターを、怪力のアマナキ・レレィ・マフィーが担うと、他の選手がリフターを担った時より、はるかに上に持ち上げるらしい。
ボールを投げ入れるスロワーは、風を計算に入れた上で真っすぐに、サインプレーで動くジャンパーの最高到達点に、ボールを投げ入れなければならない。緊迫した場面で狙ったところに真っすぐ投げ入れるのは大変難しいらしい。
スロワーと、ジャンパーとリフター、そしてダミーで動く選手やジャンパーからボールをもらう選手まで、全員が共同して背の高い相手チームと競り合いながらプレーする。 見た目より随分と複雑で練習量を必要とされるのが、ラインアウトなのだろう。
上記はアタックの場合であるが、今回の最大の敗因は、ラインアウト後のモールでコテンパンに押され続けたことにあると思う。
モールで10メートルも押されると、オフサイドラインがそれだけ自陣の方に下がってくるので、前に残ったフォワードは後ろに戻ってからモールに入り直さねばならず、体力の消耗が激しい。 バックスも一度下がってからディフェンスに行くので、勢いが落ちる。 これの繰り返しが、ゲームの終盤のフィットネスの低下、そして大量失点に繋がるのだろう。
怪我人が多くメンバーが固定しないためか、なかなかラインアウトとモールの組織プレーが上達していないように見えるサンウルブズであるが、メンバーが固定しないのは、若手が経験を積む良い機会であると捉えたい。
6月は、スーパーラグビーが休みの期間で、各国の代表がテストマッチを行う期間。 日本代表チームにも、リーチ・マイケル、アマナキ・レレィ・マフィー、ツイ・ヘンドリックといった2015年に活躍したバックロー(6番・7番・8番)が戻ってくる。
ラインアウトもなんとか立て直してくれるだろう。期待したい。
6月の日本代表の試合
6月10日(土)日本代表vsルーマニア代表 熊本・えがお健康スタジアム
6月17日(土)日本代表vsアイルランド代表 静岡・エコパスタジアム
6月24日(土)日本代表vsアイルランド代表 東京・味の素スタジアム
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