中長期経営計画の社外広報については、得意先やお客様、および仕入先や外注先といった日常の取引関係者に対するものと、それ以外の金融機関や株主、あるいはマスコミといった周辺の関係者に対するものとを分けて考えます。
日常の取引関係者に対する広報活動については、中長期経営計画を、相手に相応しい形式や内容に編集して広報することが望ましいと思われます。
その理由は、経営計画は総合的なものなので社外の取引先にとっては関心の無いものも多く含まれることと、および資金繰り計画や新製品開発計画、人事計画など、広報せずに伏せておく方が適切なものも多くあるからです。
日常の取引先に広報すべきものは、むしろその取引先に関係の深い要素に絞って、分かりやすくインパクトの強い内容で広報するのが適切です。
例えば、新製品発表会や新製品発売キャンペーンなどを、中長期経営計画の象徴的なイベントとして展開すれば、その会社の今後の経営方針を合わせて伝えることができ、より力強い製品のプロモーションとなるとともに、その会社に対する信頼感を高めることにもつながるでしょう。
また、品質管理に力を入れていくことを中長期経営計画の方針の一つとする場合には、ISO−9000のマネジメントシステムを導入するとか、QC活動を全社を挙げて展開するといったことを、仕入先や外注先を巻き込んで実施すると効果的です。
中長期の経営計画の策定を機会に、取引先に将来的な経営方針を伝えておくことは、今までのやり方を変えるあるいは新しいことに取り組む場合に、取引先の協力を得やすくなりますし取引先から新しい提案を受ける効果もあるかもしれません。
資金の借入先の金融機関に対しては、中長期の経営計画を策定すれば、その内容について報告しておきましょう。決算報告に加えて将来的な計画や方針を説明することは、金融機関との信頼関係を深め、新たな融資にも好影響を期待できるでしょう。
昨今の中小企業に対する経済政策の中には、経営力向上計画や早期経営改善計画、各種補助金など税制上の特典や補助金・助成金を得るために認定を受けるものが多くありますが、これらの認定を受けるための計画書の土台として、中長期の経営計画が役立ちます。
また、株主やマスコミに対する決算報告を行う際には、決算報告に加えて、中長期経営計画の内容をかいつまんで説明することで、社会的な信頼性を高めることに役立ちます。
次回からは、予算化について書きます。
このような経営計画は役に立たなくなる可能性があります |
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その㉙ |
得意先や仕入先をうまく巻き込めていない。 |